割増賃金を計算するなどの労働時間は、休憩時間を除く実際の労働時間により 計算しますが、次の場合には一定時間数とみなして計算することができます。
・事業場外労働のみなし労働時間制 (労働基準法第38条の2) 営業職などのように事業場外での労働に従事し労働時間を算定し難いときは、所定 労働時間働いたこととみなす制度です。当該業務を遂行するためには通常所定労働時 間を超えて労働することが必要となる場合には、その通常必要となる時間労働したもの とみなします。 (ただし、事業外労働であっても仕事を指揮・監督する立場の者が同行したり、あらかじ め行動・業務内容など具体的に指示されている場合、携帯電話などで連絡を義務づけ ていたり、あるいは指示命令を受けながら働いているような場合はこの制度は適用でき ません。最近は携帯電話等の普及により、みなし労働時間が適用できない場合が多い です。)
・専門業務型裁量労働制 (労働基準法第38条の3) 技術職、研究職といった専門性の高い業務に従事する労働者について、労使協定に より定めた時間労働したとみなす制度です。 対象は法定の19業務に限られ、労使協定には「業務遂行手段及び時間配分の決定 に関し具体的指示をしないこと」、「健康・福祉確保措置」、「苦情処理措置等」の定めが 必要です。(労使協定は監督署への届出が必要)
・企画業務型裁量労働制 (労働基準法第38条の4) 企画業務に従事する労働者について、労使委員会の決議による時間労働したとみな す制度です。対象は事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の 業務に従事し、業務遂行手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的指示をしな い労働者に限られます。 導入には労使委員会が決議したことを監督署に届出し、対象労働者が同意すること等 の条件があります。導入後は健康・福祉確保措置、定期報告が必要です。 業種によっては、これらの労働時間制度の導入によって、払わなければならない 時間外手当を大幅に削減できる可能性もあります。 いま一度、会社の労働時間制度を検証してみましょう。
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